東銀座・ぺるしぃ 一年に一度しか味わえないブイヤベース

 

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 ぺるしぃには、ここのところランチタイムよりもディナーで足を運ぶ機会が多く、今回もこちらの方からお誘いを受けたもの。ちなみに、この食事のきっかけは、その方がお店の坪井シェフから受けた、「私のブイヤベースを食べに来ませんか?」という、素敵な口説き文句。なんでも、このお店はブイヤベースを、年に一度しか作らないのだという。


 で、その方の相方さんとこちらの方、そして、初めてオフ会に参加となったこちらの方とで、東銀座に集う。最初にこのお店の名物である、しっとり旨いパンを食べる。ただ、今回は「あまり食べ過ぎないでくださいね」という、言葉を受け取った。
 さて、最初に運ばれてきたのは前菜のプレート。
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 奥が、松葉カニの刺身・グレープフルーツ添え、カニコロッケのカニミソソース、そして、カラスミのソースが敷かれた蒸し卵。
 蒸し卵は、スプーンで黄身と白身を、そしてカラスミソースを絡めて食べると、くっきとした濃度の諧調を楽しめる味わい。黄身の甘みに対するカラスミソースの更なるコク、この組み合わせを包むように、弾力に溢れた白身が存在感を出している。ちなみに、卵はこちらのものを使っているとのこと。
 次に食べたカニコロッケは、カニの旨みが高密度に詰まった味。ツボは、ベシャメル的な作りではなく、身の旨みを封じ込めた作りであること。また、カニミソのソースを絡めると…
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 立ち上がりの早いソースの旨みとコクが、カニコロッケの味を更に力強いものにしてくれる。そして、カニの刺身は、新鮮そのもの。それもそのはず、この日の14時に到着の産直もの。殻から身をはがして、単独で食べるとやさしくクセのない甘みがじゅんわりと。そこにグレープフルーツを絡めると、酸味からの反動によって、甘みが更に強く感じられる。
 ということで、今回のブイヤベースに使われる素材は、基本的に14時到着の産直ものがメイン。プレートの余韻に浸りつつ、パンの続きを食べていたら、大皿に盛られた今日の主役が運ばれてきた。
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 実は、じっくりとブイヤベースを食べるは初めてなので、その姿に驚いた。イメージしていたのは、スープ仕立てのそれであったのだが、この店のブイヤベースは、マルセイユ風をアレンジしたもので、アメリケーヌ(甲殻類から作ったソース)をベースにしたソースに、魚や貝といった魚介類を絡めて食べるというもの。
 サフランによる色が鮮やかな皿には、エビ、カニの爪、スズキ、アワビ・・・とにかく、具沢山。しかも、ボリュームもすごい。パンは控えめにと言われた理由にも納得。まず、このソースを口にすると、とにかく濃厚な味わい。ここでは、カニの殻を細かく砕いてオーブンで焼いたものを、じっくり煮込むこと約3週間。甲殻類特有の香りも、味わいとなりそして旨みとなる。
 また、塩分の強さがここまでくると心地よさになり、ズドンとした力強さを感じる。「凝縮」という言葉がこれほどしっくりくるソース、まさに驚きしか感じられなかった。
 色々な食材が乗るお皿なので、何を食べようかと迷ってしまったのだが、まずはエビやカニの甲殻類を食べることで、更に口の中を甲殻類モードにしてから、色々な具を更に食べ進む。
・あわび
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 三陸産のあわびは小ぶりながらも、その弾力に溢れた身を噛むごとに、舌上にエキスが広がる。旨みがしっかりと詰まっており、ソースと絡めると、そのメリハリが楽しめる。
・スズキ
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 島根県からの産直もの。冬のスズキというものに、抵抗感を持っていたのだが、これを食べて感じたのが、「あぁ…旨い」の一言。ふっくらとした身から広がるのが、上品な味と予想以上の脂。この身の旨みに加わるのが、皮のパリっとした食感。このバランスが申し分なし。
 そして、これにソースを絡めると、素材の力強さとソースの強さが相まって、淡白な身による旨みと濃厚なソースによる旨みという、理想的な組み合わせとなる。
・しいたけ研究所のしいたけ
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 このお店では定番となっている、「しいたけ研究所」のしいたけ。相変わらずグラマラスでジューシィな椎茸は、噛む楽しみと濃い旨みを与えてくれる。ソースの味の強さと、弾力の強さががっちり四つになった組み合わせである。
・大ハマグリとイカ
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 大ハマグリは、くにゅくにゅくにゅくにゅ…という具合に、なかなか噛み切れない弾力の持ち主ではあるのだが、それゆえにエキスの持続性で楽しむことができる。また、イカも熱の通し方が申し分なく、濃厚な甘みが申し分なし。
 いずれも、ソースとの相性も抜群であるものの、素材の旨みとソースの旨みが、ある種独立して感じるところに、素材とソースが別立てになっている意義を感じる。
・ほうれん草に包まれた、白身魚のすり身とホタテ貝
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 フワフワのすり身とホタテ貝柱の芯の強さ。すり身の空気感の部分に、ソースが絡まるとソースそのものに軽さと+αの旨さが加わる。また、貝柱の甘さがソースと一体になったその味には、素材の力強さに更なる力が組み合わさった味。
・アイオリソース
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 こんな豊富な魚介類を楽しむパートナーとなるのは、このアイオリソース。マヨネーズにニンニクを加えたものなのだが、ここではマヨネーズでニンニクを約1時間じっくりと煮出すことで、香りを含めた旨みをじっくりと引き出して、一体感を醸成している。
 ブイヤベースの具に合わせると、マイルドな味わいになるのと同時に、ニンニクの香りが旨みを高めてくれる。もちろん、このお店名物のパンに合わせても、旨いの一言。
・デザート
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 ブイヤベースのソースを、パンに絡めて堪能した後に運ばれてきたのは、この一皿。サフランによる鮮やかな黄色の次に、カシスソースとイチゴの紅によるグラデーション。このグラデーションを引き締めるのは、チョコムースの濃厚な茶色。
 アイスの口当たりがやわらかい甘みと、チョコムースの濃厚な甘みは、メリハリを持った作り。そして、この甘みを生果実とカシスによる酸味が、食べやすいものとし、甘さを更に強調する作りとなっている。
 一年に一度、まるで自分が向かい合ってきた全ての時間を込めて、シェフが作り上げられた味。そして、その味は食べる側にとっても、受け止めるには大きすぎるぐらいに、壮大なスケールとなっている。この味の真価を感じ取るには、もっと経験を積まなければと実感した夜だった。
 そしてもう一つ、こちらの方からとあるものをお土産としていただいたのだが、これもある意味で自分の勉強不足を感じざるを得ない一品だった…
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ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/復興庁「専門家派遣集中支援事業」登録専門家
地域食材・食文化をテーマにした商品開発や地域活性事業の企画・運営、取材、執筆、撮影、講演活動、地域メディア・ソーシャルメディア運営アドバイザー。人×食×地域の繋がりを強くする取組みをしています。詳しいプロフィールは下のリンクから。
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コメント一覧

  1. 早坂 より:

    美味しそうですね。海の幸が最高に上手く使われている感じがたまりましぇ~ん!

  2. のむのむ より:

    写真を見て、また思い出してしまいましたよ。
    湧き出てくるのは、笑みと唸りしかありませんでした。
    でも、何より思い出したのは、
    >「あぁ…旨い」
    このコメントを発するあの日のtakapuさんでした(笑)

  3. Bistroぺるしぃ@銀座(ぶいやべーすの集い)

    どもぉ〓♪ある2月の土曜日はぺるしぃの集い。
    のむちゃんお気に入りのビストロフレンチですネ。
    前回
    ワタシも行きたい〓!とご一緒させていただ…

  4. あな より:

    takapuさん、先日も楽しかったですね~。
    この迫力のある写真を見ていると、
    あのぶいやべーすがまざまざとよみがえり、思わずヨダレが出てきてしまいました。笑
    >「あぁ…旨い」
    takapuさんが発した言葉、ワタシも印象に残っています。笑
    あの夜はどちらかというと無言で食べ進めていた感じでしたね。
    言葉が出ないくらい美味しかったってことでしょうか。

  5. takapu より:

     【早坂さま】
     ブイヤベース憲章なる、本場のブイヤベースルールでは、使用する食材が決まっているのですが、私はぺるしぃの、旨いものはどんどん取り入れる憲章によるブイヤベースのほうが好きです。
     ちなみに、この店の坪井シェフとパンを焼いていらっしゃる鈴木さん、実写で漫才OKですよ(笑)。

  6. takapu より:

     【のむのむさま】
     旨いものって、ノーガードで笑いが産まれますよね。そのゆるんでいる自分というのが、また嫌いじゃなかったりするもので…
     やっぱり、旨いものを旨いと言える時間と空間が、手の届くところにあるのは幸せです。

  7. takapu より:

     【あなさま】
     そういえば、この日の私は雑誌を持ったり、いつものスパークリンググレープジュースを飲んだり、いつもより口数が少なかったですね。
     それだけ、美味しかったのと同時に、それだけメモに一杯一杯だったのです(苦笑)。

  8. Bistroぺるしぃ ブイヤベースの会 (銀座)

    年始にぺるしぃへ伺った際、2月にこんなイベントをやるんですよと教えていただいたの

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