ひるどき青森シリーズ・その9 ~この麺とソースはすごい! 黒石市・「山ちゃんやきとり」で食べる黒石焼きそば~

 

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 津軽ラーメンと大判焼、そして鯛焼きを食べていたら、いつの間にか弘前に戻るまでのタイムリミットが、残り約1時間となっていた。このうち電車の乗車時間が約30分。ということで、急いで一旦黒石駅まで戻り、駅前からタクシーに乗り込む。
 道の脇に雪が積もる中、タクシーで走ること約5分。到着したのは、お店というよりは普通の一軒家のようなたたずまいの建物。ただ、店名の目立ち具合は一級品。で、お店に入るべくガラス戸に近づいてみると…


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 焼鳥屋さんにもかかわらず、ハンバーグを初めとしたお弁当のラインナップが目立つ。不思議な感覚を持ってガラス戸を開けると、目の前には焼く前の串に刺さった鶏肉が入ったケース。そして、その横には、
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 こんな具合に置かれてたマンガが、やきとり弁当を注文した部活帰りの高校生の相手をしていた。さて、自分は焼きそばを注文したのが、お店のおばぁちゃんから最初に聞かされた言葉は、
 「あぁ、ごめん。終わっちゃったのよ…」
 旅先で一番聞きたくない言葉だった。どうしてもあきらめきれなかったので、おばぁちゃんにとにかくひたすら何とかお願いすると、
 「じゃぁ、お父さんに聞いてみるわね。」
 ということで、お店の隣の建物にいたダンナさまに作ってもらえることに…と思ったら、すぐそばにあった金属製のボウルには、既に作られた焼きそばがたっぷり入っていた。そんなご夫婦のほほえましいやり取りの中、焼きそばが透明のケースにたっぷりと盛られる。
 ちなみに、注文したのは大盛りではなくレギュラーサイズ。なのに、大盛りにしか思えないような量の焼きそばが、次から次へとケースに吸い込まれていく。そして、割り箸と一緒に受け取って、店内の小さな飲食スペースに腰掛ける。
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 黒石やきそばの特長は、この色からして濃厚なソースと太いそばである。ただ、最近はつゆ焼きそばなるものが、テレビで取り上げられたことで、こっちが黒石やきそばとして有名になっているのかもしれない。
 ちなみに、自分は今回見送ったのだが、ここに連れてきてくれたタクシーの運転手さん曰く「欽ちゃんがねぇ、つゆ焼きそばをテレビで食べてからは、その店は3時間待ちとかもあるみたいだよ。」とのこと。
 さて、こちらの焼きそばのフタを開くと、鼻に伝わってくるのは香りの時点で味が解るぐらいに、甘辛く濃厚なソースの香り。そして、そばをズズっと口に持っていこうとすると、ソースがしっかり絡んでいるので、箸にずっしりと重さが伝わる。
 ようやく、数本引っ張り出してズズっとすすると、なんとも強いハリとコシ。そして、この麺の個性としっかりかみ合った、ソースの濃厚で甘辛な味。ともすればジャンクな味に終始してしまうかもしれないこの一品に奥深さを感じるのは、麺とソースの絶妙なバランスが展開されているから。
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 ただ、これはボウルに入った作り置きゆえに、ソースがそばにしっかりと馴染んでいたこともあるかもしれない。そうなると焼きたてとの比較をしてみたくもなる。
 また、肉もしっかりと厚めのが入っていたり、キャベツがこの甘辛を緩和する役割と、自身の甘さによって味の幅を広げていたり、個々の具がしっかりと焼きそばの味を高めていた。
 とはいえ、やっぱり主役は麺とソースの組み合わせ。食べているときにジャポネが頭をよぎったのだが、たしかに食べているときに感じるのは、「今、半分ぐらいだよなぁ」という、まるで登山中のクライマーみたいな感覚。
 
 お茶を出してくれたおばぁちゃんに、ごちそうさまを伝えると、おばぁちゃんの顔が優しくほころんだ。こんな笑顔を見ると、こちらも嬉しくなるのだが、この笑顔から離れなければならないことが、逆に寂しさとなって胸に広がってくる。
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 黒石の駅から弘前に戻り、特急に乗って八戸へ向かう。こうして、3時間の小さい旅が終わり、三日間の青森時間は終わろうとしている。
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 弘前の駅から八戸に向かう際、あれだけ食べたにもかかわらず、お腹が空いてしまった。
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 ご主人の誇りとおばぁちゃんの笑顔を思い出しながら、あるいは、食べたらなくなっちゃうという、いとおしさを感じつながら、お腹と心を満たすことにした。
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ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/復興庁「専門家派遣集中支援事業」登録専門家 地域食材・食文化をテーマにした商品開発や地域活性事業の企画・運営、取材、執筆、撮影、講演活動、地域メディア・ソーシャルメディア運営アドバイザー。人×食×地域の繋がりを強くする取組みをしています。プロフィールやお問い合わせは下のリンクから。
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コメント一覧

  1. ヒロキエ より:

    見ていたらお腹が空いてしまった。
    日本全国の焼きそばリポートを是非、シリーズ化して下さい。

  2. takapu より:

     【ヒロキエさま】
     ありがとうございます。この黒石焼きそばは、首都圏の青森物産展でも登場し出しておりますが、400円とかなんですよ…この値付けを何とかしてもらいたいものです。
     日本全国の焼きそばですか…そばめしも入れると、富士宮、長田、黒石と食べてきましたが、次は…やっぱり新潟でしょうか?(笑)

  3. るな より:

    えぇぇぇ~黒石においでだったの?
    お知らせくだされば、ご案内したのに。。。
    黒石やきそばは、平らな太麺にソース味。
    話題の「つゆ焼きそば」も、ぜひご賞味いただきたかったです。
    何時間も待たなくても、食べられるお店もあります。
    それと、物産展で販売している「パック入り」ですが、確か2食か3食入りだったような。
    これなら、許されるでしょ♪
    もともと、ち~っとも、高級な食べ物ぢゃありませんので。

  4. takapu より:

     【るなさま】
     
     はい、この焼きそばを食べに行きました。実はアイスキャンデーのお店も行こうと思ったのですが、あいにく休みでした…
     この平らでグラマラスな太麺。そして、強くずっしりと絡んだソースの味。申し分ありませんでした。次は、つゆ焼きそばも食べてみたいものです。
     物産展のパックが2~3個入りということであれば、大許しです。まとめ買い上等といった感じです。

  5. ぶれいぶ より:

    はじめまして。TBさせていただきました。写真がとっても綺麗ですね。
    東京に行ったときの食べ歩きの参考にさせていただきます。

  6. takapu より:

     【ぶれいぶさま】
     いやぁ…実は以前から日本食べある記には、憧れを抱いておりました。
     地域活性化を食で展開するというのは、第二次産業の誘致と比べると、規模が小さいものの、地元の方が持つ郷土愛というモチベーションを高めるには、絶対に欠かせないものですよね。
     私が、地方の旨いものを書いているのも、そんな気持ちに対する尊敬と、実際に食べての驚きを一人でも多くの方に伝えたいからなのです。
     こちらこそ、今後とも色々とよろしくお願いいたします。そして、機会があればお会いしたいものです。

  7. ぶれいぶ より:

    takapuさま。
    もったいないコメント頂きありがとうございます(^^)。
    最近はマスコミのご当地グルメに対する関心も高いので、しっかり取組んでいるところでは経済効果も馬鹿にならなくなっているようです。
    私もtakapuさんの考えと同感です。ちなみに6月2~3日の富士宮でのB-1グランプリにはこられませんか?もしご都合があえば、そこでお会いできるといいですね。

  8. takapu より:

     【ぶれいぶさま】
     なるほど…宮崎県も知事があの知事になって、地鶏の売り上げがかなり増えているようでして。
     そうなると「取り組み=プロモーションの巧拙」という関係が、より明確になっているなぁと感じますが、あれは…例外ですよね。首長力という感じが強いということで言うと。
     で、6月2~3日は参加予定です。お会いして、色々なお話をお伺いできれば幸いです。

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