雪が谷大塚・食堂廣田 牡蠣尽くしの夜「カキタベナイト!」

 

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 「直径10センチのカキフライボールが食べたいっっっ!」
 そんな、こちらの記事に集った熱い声をきっかけに、オイスターフリークが集まって開催されたのが、「カキタベナイト!」
 ということで、初めての方が訪問するには少しタフな環境にある、雪が谷大塚の廣田にて開催。総勢10人が集い、サッポロラガーとウーロン茶を片手に乾杯をして、最初に運ばれてきたのは3種類の生牡蠣。


 廣田で生牡蠣となると、基本は大田市場の「山宗」に入荷される外国産。この日も左からシアトル産のクマモト、ペンコープセレクト、そして、カナダ産のファニーベイと、北米大陸産の牡蠣が揃った。
 実は、この3種類には大きな違いがある。クマモトは日本から稚貝を持ち込んで養殖をした、日本でも普通に食されている一般的なマガキ…ではなく、かつて有明海に生息していた「シカメガキ」というもので、マガキと同じ「クラスオストレア属」というものだが、最近のDNA鑑定で別物と判明したものである(魯さま、ご指摘ありがとうございました)。
 一方、ペンコープセレクトはオリンピアオイスターという、アメリカ西海岸特有の種で、一般的なマガキや先のシカメガキとは違って、オストレア属に分類される。そして、ファニーベイも同じオストレア属。
 この系統のカキとしては、日本にもイタボガキというものがある。元々、瀬戸内海を中心に東京湾でも獲れていたほどに、絶対量が豊富だったが、現在は年間にほんのわずかしか発見されず、市場に出回らない貴重な海洋資源となってしまった。
 現在、岡山や香川の水産試験場が人口採苗に成功し、少しずつではあるがイタボガキの復活計画は進んでいるものの、そもそもが天然繁殖されていたものだけに、本格的な復活には、良質な海洋環境の整備が欠かせない。
 見た目の特長としては、円形に近いフォルム。そして、粒そのものの大きさと形にある。国内のマガキに比べると小さいものの、他の2つに比べて一回り大きなクマモトは、すっきりとした味に甘さが潜んでいる。唯一、酢橘が添えてあった理由はマガキの磯味をすっきりさせるため。
 一方、ペンコープとファニーベイは、表面のクキクキした厚みのある膜から、小粒からは想像つかないほどのコクがあり、後を引くような旨みを持つ。そして、甘いという印象を強く与えてくれるその味が、自分は大好きだ。
 生牡蠣のコンセプトが、「牡蠣で世界を知る」というものであるならば、次からの牡蠣料理に込められたコンセプトは「しっかりと火を入れることで生まれる牡蠣の旨さを知る」というもの。
・牡蠣のグラタン
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 その幕開けとなる一品は、牡蠣のグラタン。アメリカ西海岸には、ハングタウンフライという、牡蠣とベーコン、そしてタマネギが入った名物グラタンがあるが、この牡蠣グラタンには、宮城産の牡蠣とイベリコ豚のハム、そしてほうれん草が入っている。
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 昔式のベシャメルソースは、水っぽさの欠片もなく弾力と呼ぶに近い食感。舌でとろけるうちに牡蠣の旨みが浸透した濃厚な旨みが広がり、更にイベリコが持つ異質の濃さによって、圧倒的な印象を残す。
 このベシャメルと組み合わさる大ぶりの牡蠣を噛むと、凝縮されたエキスが広がり、プクプクとグラマラスな身体に宿る力強いコクが主張する。
・カキフライ
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 幸いなことに、自分にとっては御馴染みとなった一品も、やはり初めて見る方にとっては相当のインパクト。厚めの衣に封じ込められているのは、ズシンと力強く磯の香りと旨みがぎゅっと詰まった牡蠣の融合体。
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 テーブルサイドに置かれた岩塩のランプによって、妖しく照らされたカキフライの中身、それは貝殻によって養殖されている牡蠣をイメージさせる。
・牡蠣と大根の炊き合わせ
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 今回、参加された方々に一番印象的だったのが、この一品。300度に熱したオーブンで、熱をとことん入れることで、旨みを凝縮した広島産の牡蠣。エキスを保ちつつ水分を抜くためなのだが、20個の牡蠣からカレースプーン2杯分の水分しか外に出ないのとのこと。
 それだけ、余分なものがなくグリコーゲンがたっぷりと詰まった牡蠣が、「どうやればこんなに旨みを吸わせることができるのか?」というぐらい、しっかりとダシをしみこませた大根と組み合わさって、トロっとした銀あんと柚子胡椒の刺激が、全体を引き締める。
 一言でいうと、調和の極み。ホクホクとした大根と、はち切れんばかりの牡蠣が上品な銀あんと調和すると、なんともまぁ、見た目からは想像もつかない懐の深い味を生みだす。
・黒トリュフと牛肉エキスのスパゲティ、牡蠣のクリーム和えのせ
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 〆の一品は、重量感あるスパゲティ。パスタを引き上げると、トリュフの濃厚な香り。これを、熱を通した牡蠣を半分に刻んだものを、8分立ての生クリームに和えたものと一緒に口にする。
 レシピとしては古典的なものだというが、トリッキーな組み合わせのパスタが多い昨今、実は至極真っ当な組み合わせの一品にこそ、新鮮な印象を受ける。
 冷たいクリームと、熱々のパスタ。口に入れると温度が融和して軽さと重厚感が一体になり、目的の味へとたどり着く。牡蠣の濃さというのが、どの食材の濃さとも異質のものであることを、改めて教えてくれる。
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 食後のコーヒーは、ニューギニアやザンビアの豆をブレンドした、「パッション」というもの。このお店には八巻氏という、老舗コーヒー店で修行した方が働いており、さしずめ渾身の一杯と呼べるもの。2月一杯でお店から離れて次の道へと進まれるということで、もしかすると最後の一杯になってしまうのかもしれない。
 思えば、このコースもパッションという一言に尽きる。でも、それはシェフの確信犯的に仕組まれたもの。そんな刺激を一緒に感じていただいた皆様に感謝。
・今回、参加いただいた皆様。
馳走に屋号に意匠あり:まさぴ。さま
バンド・オブ・トーキョー☆:ロレンスさま
色々だらだら:魯さま
東京のむのむ:のむのむさま と、相方のてくてくさま
春は築地で朝ごはん:つきじろうさま
Tokyo Diary:romyさま
華麗叫子の胃袋は偉大なるコスモ:華麗叫子さま
ちはやまことさま
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ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/復興庁「専門家派遣集中支援事業」登録専門家 地域食材・食文化をテーマにした商品開発や地域活性事業の企画・運営、取材、執筆、撮影、講演活動、地域メディア・ソーシャルメディア運営アドバイザー。人×食×地域の繋がりを強くする取組みをしています。プロフィールやお問い合わせは下のリンクから。
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コメント一覧

  1. ちはやまこと より:

    先日は初めて御一緒頂き、ありがとうございましたm(_ _)m
    同い年という事もあり、ブロガーさんの中で特にお会いしたかったtakapuさんにようやく会えて嬉しかったです♪
    どの料理も美味しかったのですが、個人的には牡蛎グラタンが一番好きでした♪ また次回の『カキタベナイト』にも誘って頂ければ幸いです(*^_^*)

  2. より:

    素晴らしい会の企画、ありがとうございました。
    料理と、濃いメンバー、とても楽しかったです。
    ところで、クマモトオイスターですが、マガキではなくシカメガキ
    みたいですよ。極めて近い種でマガキと交雑するそうです。
    ちなみに、宮城と広島も種としてはマガキですが昔は別物
    だったようです。今は完全に交雑してしまっていますが・・・

  3. takapu より:

     【ちはやまことさま】
     こちらこそ、ようやくお会いできて嬉しかったです。ありがとうございました。
     おそらく、日記と現物とで180度違う印象を持たれたかと思われますが、AB型でしてこんな感じなんです(笑)。
     誰もにフェイバリットがあったことが、個人的には嬉しかったです。全体のレベルが高くて、あとは個人の嗜好に依存されるというのが、イベントとしては理想的だったので。

  4. takapu より:

     【魯さま】
     すいません、私も参考資料(おそらく、同じ漢字4文字の資料をお持ちではと思います)を見て、思いっきりこの部分が飛んでいることを確認しました…ご指摘、ありがとうございました。
     種の交雑は、難しいところですよね。世界最強とも呼ばれる宮城種が、どんな環境においても生存力を発揮する故に、多くの産地がこれを使っているのは、ビジネスとしては当然だと思います。
     ただ、今は自然環境の違いや植林による海水の改善によって、養殖地特性が反映されやすくなったこともあり、種=味ではなく、環境=味にシフトしていることで、画一化になってないのが救いです。
     幸い、どうやら広島種や岡山種の牡蠣というのもあるようですし。ただ、殻を見ただけで産地が判るという、あの方のようにはいきませんが… 

  5. ちはやまこと より:

    >日記と現物とで180度違う印象を持たれたかと
    確かに御本人にお会いするまで、ブログ=スッポン男が結び付かなかったので(?_?)だったのですが、お会いして『なるほど』って思いました(笑)
    takapuさんと叫子さんのやりとりを近くで見ていたのですが、『落ち着きのない弟』と『弟を優しく見守る姉』の様でとても微笑ましかったです♪

  6. のむのむ より:

    先日はお誘いくださって、ありがとうございました。それに、この詳細な記事。社会科見学をして、その後テキストで復習ってな感じですわ(笑)
    牡蠣の魅力の引き出しって、ほんとたくさんあるんですね。すごい期待して行ったのですが、期待以上でした。牡蠣をもっと好きに、知りたくなりました♪

  7. ロレンス より:

    先日はど~も
    残念だったのはハイテンションをキープするtakapuさんの
    元になった司会者の名前を忘れてしまって、
    これをブログに書けなかった(笑)
    牡蠣と大根の炊き合わせは、旨味を凝縮している点と
    素材そのものを味わえるという日本人好みの点が良かったのでは?
    これもブログに書けばよかった(笑)

  8. まさぴ。 より:

    委員長、ご苦労さまです。
    満を持しての執筆でありますなっ。
    ううむ、それぞれの牡蠣の”属”までの話となると皆目判らないので、なるほどなぁでありますね。
    漢字4文字「○○○○」?
    ううむ、なんだか怪しい(笑)。

  9. romy より:

    トリを飾る魂のレポ!
    こんなパンチの効いた牡蠣づくしは、ここでないと出会えなさそうですね。
    委員長とシェフに感謝です。
    のむのむさんのコメントの「牡蠣をもっと好きに、知りたくなりました♪」まさにその通り!
    最高のカキタベナイトでしたね☆

  10. takapu より:

     【ちはやまことさま】
     まぁ、すっぽんのような男が、こんなブログを書いてもいいではありませぬか(笑)。

  11. takapu より:

     【のむのむさま】
     ども、ご参加いただきまして、本当にありがとうございました。
     確かに、雪が谷大塚デビューという社会科見学でしたね。テキストには誤字が発覚して、勉強不足を痛感しておりますが…
     牡蠣料理は、想像している以上に色々あるんです。とある雑誌が牡蠣特集だったので購入したら…いやぁ…たまらんでした(笑)。

  12. takapu より:

     【ロレンスさま】
     先日は、ご参加いただきましてありがとうございました。
     私の元となった司会者ですか…えーと…外人でしょうか?グラハムカーじゃないし…
     牡蠣と大根の炊き合わせ、そうです!日本人は素材味から入る人種ですからね。まさにその通りだと思います。今からでもブログに加筆ください!(笑)
     

  13. takapu より:

     【まさぴ。さま】
     先日は、ご参加いただきましてありがとうございました。もう、お店の常連さんですね(笑)。
     牡蠣の属は単純なようで複雑なようでという具合に、なかなか理解しにくいものでして…まぁ、どちらも旨いという結論でいいじゃありませんか。
     ところで、漢字4文字の資料ですが、後日こっそりとメールいたします。
     

  14. takapu より:

     【romyさま】
     先日は、体調不良の中をご参加いただき、ありがとうございました。
     ということで、トリを飾らせていただきましたが、単純にそれは書くのが遅いだけでして(笑)。整理ベタなのが悩ましいところです。
     牡蠣尽くしって、カードがたくさんないと絶対できないですからね。牡蠣の料理=カキフライ的に、先入観があると中々他の料理が浮かびにくいところですし。
     もっとも~っと、タケモトピアノのようにシーズン真っ盛りの牡蠣を楽しんでください。

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