神楽坂・北町善知鳥 このラインナップはすごい!青森のベストな海鮮食材たち・「七子八珍」を堪能する。 ~その2~

03/07/2008東京,飯田橋

・このこのミズの煮浸し
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青森には「水物」という郷土料理がある。
昆布のだし汁に塩味を加えたものに、ホヤやミズという山菜を合わせて食べるのだが、これがシンプルゆえに食べ飽きることなく、そしてシンプルゆえに食べたときの旨さに、大きな驚きを感じる一品になっている。
そして、この煮浸し。薄めの味付けでダシの旨みが引き出された水物へのオマージュかのように、派手さはないものの、じんわりと旨みが身体に染み渡る。


味付けの鍵は七子の一つ「このこ」。これはナマコの卵巣のこと。青森のナマコ、特に陸奥湾産のそれは生食で食べるにたまらない一品。元々、国産もののナマコ自体が珍重されている中、中国に輸出されるメイドイン青森のナマコも、高級品として珍重されている。
どちらかというと、あまり首都圏で食べられることがないナマコ、その卵巣を重ねて三味線のバチのようになったバチコ状のものを使ったからこそ経験できる、かみ締めてイヤというほどあふれ出す旨み。
珍味中の珍味と言えるこの素材によって、汁には複雑な塩味と旨みが染み渡り、確実に日本酒が恋しくなるであろう味が広がる(自分は下戸だが…)。
ただ、一番旨いのはこれらの旨さを独り占めする、ミズという山菜に他ならない。
・貝焼き味噌
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青森では「けっこ」とも呼ばれるこの貝焼き味噌。ホタテの貝柱やネギを入れた鍋代わりのホタテの貝殻に、だし汁、味噌、そして卵を混ぜたものを注いで焼くというもの。
水分が飛んで味が凝縮した味噌は、ご飯のお友達、そしてお酒の親友にふさわしい味となり、貝柱を一つ口に入れると、少し残った瑞々しさがエキスによる旨さである幸せを感じさせてくれる。
この鍋のツボは、貝殻。年季が入った5年もののホタテ貝殻を使うと、殻からもエキスが出るのと同時に、殻にダシ汁が染み渡っていくことになる。あとは、手入れを上手にすることで、まるですっぽん鍋の土鍋のように、家宝クラスの調理器具へと進化する。
ちなみに、ホタテは七子でもなければ(ホタテの生殖巣は七子だが)八珍でもなく、「堂々九品」というものになる。
・とげくり蟹 生姜酢かけ
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青森県人にとって、花見の時期はエビカニの季節。そのエビはガサエビ(シャコ)のことで、カニは「八珍」に属するとげくり蟹である。
毛がにを一回り小さくしたその姿だが、旨みはしっかりとつまっており、中でも特筆なのが内子とカニミソ。
ホクホクになった内子の旨みは、クセはまったく感ずに甘くも感じさせるような、まろやかなコクによるもの。そして、カニミソはなめらかな口当たりから、クドさのない旨み。ナチュラルな塩加減が、食べていて箸がとまらない要因。
ここに生姜酢をジュレにしたものを注いで食べると、口をさっぱりとさせることで、あっさりとした土台を作ってくれるので、更なる食べやすさが生まれる。
こんな旨いカニを食べていると、花見どころじゃない気もするが、早くも来年の花見が楽しみになってくる。
・ホタテ貝柱の土鍋ご飯
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シメは、ホタテの旨みが一粒一粒の芯まで染み渡ったご飯。旨いご飯のおこげは、どうしてこんなに旨いのだろうか…
青森に来て3ヶ月になる自分のフィルターで見ても、やっぱりまだまだ青森の食材、そして食文化は深すぎる。何より、ご参加いただいた方々の喜ぶ顔を見ていたら、青森という「近くて遠い国」が持つ魅力の力を改めて感じさせられた。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。青森の食材を一緒に食することができて、とてもうれしかったです。
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著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
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Posted by takapu