人形町・ラ フェニーチェ 青森食材でクリスマス ~その2~

25/12/2008東京,千代田区/中央区/江東区,よるどき

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4品目は、香り米「恋ほのか」のリゾットに、青森県産真鱈の香草焼きを添えたもの。実は約2年前に炊飯前の恋ほのかを口にしており、その味は今も身体に刻まれている。とにかく、作り物には発せられない深い甘さ、そして噛み砕いたときのあのホワっと広がる味。
そんな恋ほのかの食感をベストに残したリゾットは、チーズが絡みすぎずて米粒がベシャになることなく、まさに一本の筋が通ったような食べ心地。変な話、真鱈の印象はリゾットを際立てるような存在だった…最初は。
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でも、ここに合わせるこの「じゃっぱ汁」風のスープがすごかった。
こちらにも認定されているじゃっぱ汁は、津軽の魂が込められた冬の郷土料理の代名詞。出汁に真鱈の骨をこれでもかと使っているので、さしずめ和風のコンソメスープ。
リゾットにスープを注ぐことで、さっきまではお米の一粒一粒とチーズが馴染んだシンプルで濃厚な味だったのに、味の土台は一気に海上へと移動した。ここに入ったタツ(真鱈の白子)の膜が歯に当たると、まろやか味の細胞が風船が爆発したかのように一気に広がる。
いやはや…これはすごい。
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そして、メインのシャモロック。1970年代に七面鳥の代替として使われ始めた、日本クリスマス界の至宝・ローストチキンを、青森の至宝・青森シャモロックで。
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シンプルなロースト、ビールフリット、そして猟師風煮込み。塩いらずの肉汁がストレートに旨いロースト、軽快な衣と歯に当たっても固さのないビールフリット、そしてピリ辛仕立ての猟師風の煮込み。
自力のある鶏肉を食べると、一番に感じるのは調理法との相性よりも、生産者と生み出された鶏肉との相思相愛みたいな関係。絶対に丁寧に育てないと、こんな鶏肉にならない。
そして、もう一つ秀逸だったのがエゴマを使ったソース。南部地方ではエゴマを「じゅね」という呼び、味噌と混ぜてそば粉のもちに塗って焼く「じゅねもち」が、伝承郷土料理として親しまれている。
独特のコクが入り混じったソースは、まるで南部地方に対するオマージュのような味。
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メインの後は、デザートへ。ブッシュドノエルと共に三色の繭が彩られたプレートが目の前に。
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スチューベン、皮を剥いても色が変色しない無褐色りんご、そして洋梨「ゼネラルレクラーク」のシャーベット。
房から一粒取って食べると、皮の酸っぱさと中身の甘さの諧調に驚くスチューベンが、しっとりと滑らかな口あたりから、酸っぱさが消えすっきりした甘さになり、シャキシャキとした歯触りが残ったライブ感のあるりんごのシャーベットは、いつもは冷やしてガブリと食べているりんごの違う一面を教えてくれる。
そしてゼネラルレクラークの独特の柔らかさと瑞々しさが相まった、洋梨らしさがぎゅっと凝縮された味。三種類のシャーベットが、それぞれ何にも似ていない表情で、ツリーの灯りと共にクリスマスパーティーの夜を彩った。
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著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
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Posted by takapu