岩手県花巻市・マルカンデパート大食堂 謎の飲み物や、ナポリカツに巨大ソフトクリーム。大食堂がワンダーランドだった時代がうらやましい!

15/07/2009食堂,岩手,東北,揚げ物,スイーツ,ひるベター!!

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青森に来て以来、「お隣さんだし・・・いつかは行ってみたい。」と思いながらも、「いつか行くからいいか・・・お隣さんだし」になってしまったのが岩手県。

でも、ETCが期間限定で1,000円になったのをきっかけに初めて訪問。
この恩恵を受けるのは、東京から北上したり南下したりする方々だけじゃない。
県内を走る電車の本数が少なく、弘前から青森への最終電車が22時前という、「中心都市同士を結ぶ路線なのに…」と、理解できない交通事情があるエリアの住民だって同じだ。

そんな思いが一気に爆発し、車を一気に走らせて向かった先は岩手県花巻市。
岩手県唯一の空港や、宮沢賢治の生誕地、そしてプリン大福が名物の産直施設があったりする中、地元の人にも県外の人にも一番有名かもしれないのが、このマルカンデパート。その知名度を高めているのが、この大食堂だ。

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エレベーターで6Fに上がり、ドアが開いた瞬間に目に飛び込んでくるのは、レトロな食券売場の看板と、あまりに広すぎる店内。その席数はなんと560席。紀ノ國屋ホールの客席数より多いとは・・・

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そんな大食堂だからメニュー数も圧巻の一言。デパートにある食堂のたいていは、どんな客層のニーズにも応えるべく、和・洋・中どのジャンルの料理も用意されているが、ここはその数が半端じゃない。
一番上にあるメニューなんて子供が見えるわけない。しかも、これが左右二つに分かれている。

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メニューを吟味して、3種類の食券を購入したら席選び。
実は、開店直後に入ったのでどの席を選んでもOKの状態。ゆえに妙に迷う・・・結局、窓際の明るい席に座ることに。

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次々とお客さんが集まりだし、大きな空間を店員さんが行ったり来たりとなる。おじぃちゃんが食べた味を孫と一緒に楽しめる環境、そこに生まれる笑顔を眺めているだけで、自分も幸せになれる。
そんな中、最初の一品が運ばれてきた。

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その名もドミニカンスカッシュ。見た目に妖しい色を放つ液体を一口飲んでみる。
味は、「カルピス+炭酸水+イチゴシロップ」と思しきもの。
でも、デパートの空気と調和した味。舞台設定が味に与える影響の大きさをを感じさせる一杯だ。

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次に運ばれてきたのは、ナポリタンとトンカツが一緒になった「ナポリカツ」。
デパートの揚げ物となると、あまり肉の厚さが期待できないという先入観が生まれがちだが、これは十分合格点な肉の厚さ。

ジューシーなカツとケチャップがリードするナポリタンの味が組み合わさると、普段絶対に自宅で合わせない組み合わせだけに、妙に贅沢なことをしていると思ってしまう。
ちなみに、これで550円。きっとこの価格は大食堂のやさしさに違いない。

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そして、この食堂名物のソフトクリーム。高さおよそ25センチ。箸で食べるという流儀に従って食べるが、周りのお客さんも同じように箸で食べている。妙な共有感が美味しさを高める理由は、何だろうか。

あまりにも満足度が高いデパートの大食堂。大森のダイシン百貨店と同じように、街を見守り続け、街と共に年を重ねてきたお店。だから、みんな安心して足を運びみんな笑顔になって帰っていく。

聞けば、青森にもそんな大食堂があったという。約16ヶ月前に青森に来た自分の記憶には全くないお店なのに、お店の思い出話を聞くと心から復活してほしいと思う。

自分が進めているこのプロジェクトも含めて、青森に住む方の心に根ざす料理や食文化だって、ヨソモノにとってみれば偉大なる存在。重要なのはその存在を維持することなのだが、色々な理由でそれが失われたりしているのは至極残念なこと。

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お店を後にする時に見かけた親子の姿。
ワンダーランドに訪れた子供がそのスケールに圧倒される姿を、青森でも見てみたい。

著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
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Posted by takapu