青森県弘前市・ゆぱんき そこに空気が流れ、時間が生まれる。そんな一軒のお店。

 

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年末から年始にかけて、実家に帰省して実家周辺エリアを歩いて感じたのが、近くに居心地がよさそうな喫茶店やカフェがなかったことだった。


少し空き店舗が目立つようになってきた商店街には、地域の人が集まるコミュニティスペ-スとしてのお店がなく、昔から営業しているお店はあるもの、中途半端にクローズドな雰囲気が漂っていたり、残念ながらこだわりを感じさせる空気が流れてなかったりと、惜しいという表現をするのが惜しいお店ばかりが目についてしまう。
一方、青森市内であればジターヌマロンあるいはコノハトといった、しっかりと珈琲に向き合う喫茶店であること、憩う場としてのカフェであるお店、つまりはアイデンティティがしっかりと表現されているお店が多い。
そして、それは弘前も同じこと。例えば土手町を中心とした街中を歩けば、無意識に珈琲の香りを感じてしまうような錯覚に包まれるぐらい、弘前には喫茶店やカフェがよく似合う。
そんな、弘前にあまたとある喫茶店やカフェの中でも、自分が行くお店は3つのいずれかになってしまう。一つは、土手町にあるCAFE JEEBAそれか、弘前大学の近くにあるqiora、そしてもう一つがこのお店、ゆぱんき。
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五重塔のほど近くにあるこのお店、路上に面した大き目の看板を目印に細い路地を進むと、そこにはひっそりと佇む一軒家の姿。不思議なことに、このお店がかもしだす空気に触れると、小説や写真集の世界に入りこんだかのような、独特な世界に引き込まれてしまう。
といった感覚で扉を開くと、お店の奥に進むと看板とりんごが出迎えてくれる。何だろう、この不思議な安堵感のようなものは。
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クラシックカメラが衝立となって、数冊の本が倒れるのを防いでいる本棚。お店の世界観を可視化しているかのような本棚を、不思議なぐらいに飽きることなく見てしまう。
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そんな中で運ばれてきたのが、ランチセットのハヤシライス。
湯気に乗った芳醇なソースの香りと、熱々のごはんの甘い香りが、目の前で入り混じる。ソースと絡んだお米の味が素敵で、サラダの上に乗った麦の弾力が素敵で、お店の空気ごと食べているような感じになる。
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食後のコーヒーは、このお店オリジナルのゆぱんきブレンド。スタンプが押された紙でくるまれたお砂糖も、なんともいえない可愛らしさ。
一杯一杯、注文を受けてから手挽きしてドリップされる。ジターヌがこのお店のためにブレンドしたその味は、不思議な感覚に包まれる一杯。酸味とか苦みとかの刺激を感じるための珈琲とは間逆で、この珈琲は優しい一杯。
添えられるクッキーも色々な形があるらしく、もしもお店のシンボルと同じ形が出てきたら、きっと微笑んでしまうに違いない。
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小さな窓から見える川沿いの風景を切り取った一杯を飲み干すと、この時間に対する愛おしさで一杯になる。そんなお店だから、「また来よう。」と心から思える。
街の空気、お店の空気。どちらにも共通するのは、時間の積み重ねで生まれるということ。歴史ある城下町に流れる空気の中で、今日もこのお店の時間は生まれ続ける。

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/復興庁「専門家派遣集中支援事業」登録専門家 地域食材・食文化をテーマにした商品開発や地域活性事業の企画・運営、取材、執筆、撮影、講演活動、地域メディア・ソーシャルメディア運営アドバイザー。人×食×地域の繋がりを強くする取組みをしています。プロフィールやお問い合わせは下のリンクから。
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