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青森県弘前市・ナポリタン thank you&good bye.

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その報に触れたのは10月のある日のこと。
11月一杯をもって、弘前の名店が長い歴史に幕を下ろすというものでした。
その名は「ナポリタン」。
自分が青森に住む前から、
不思議な名前のお店があるものだと思ったものです。
春には咲き誇る桜を眺め、
夏にはねぷた祭りの出陣を後押しし、
秋には赤く色づく紅葉を見送って、
冬には凍えるお濠が少しずつ融ける姿を見守っている。
弘前公園のすぐそばにあるこのお店は、
そんな弘前の四季と共にあったんだと思います。


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閉店間近という報に触れたお客さんは数多く、
一人一人のお店に対する思いは、
開店前の行列という姿になっていました。
11:00の開店と共に店内は満席となり、
カウンターに座るお客さんは注文する内容を考えたり、
厨房の記憶を目に焼き付けていたり、あるいはつぶやいていたりといった感じでしょうか、
それぞれが思い思いに、このお店との残り少ない時間を過ごしていました。
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この、温かみのあるメニューブック、
そうです、ここが弘前のナポリタンです。
まさに、この一言に尽きます。
だって、注文するのはやっぱりナポリタンなんですから。
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チェックのクロスに置かれた一皿、
ケチャップの味がしっかり馴染んだスパゲティ。
シャキシャキの玉葱にピーマン、そしてエビ。
上にちょこんと添えられたゆで卵。
フォークに絡める度に目の前に広がる香りは、
いつも懐かしい気分にさせてくれました。
そんなシンプルで変わらない美味しさが、
長年に渡って提供され続けていたからこそ、
この味は、弘前の主食だったんだろうと思うのです。
これほど、食べ終わりたくないと思った時間はありません。
でも、それもまた無粋な話。やっぱり熱々のうちに食べ終えるのが、
一番美味しい食べ方なんです。
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そして、食後にはもう一つの名物である白いパフェ。
かなりの甘さの生クリームに、たっぷりのバナナ、
そして、バニラアイス。
食べ進めるうちに、少しずつ溶けて行くバニラアイスは、
まるで冬から春へ季節が移りゆく姿のよう。
シンプルな組み合わせなのに食べごたえ満点なのは、
一人一人が思い出や記憶をその白い姿に描きながら、
楽しんでいるからなのかもしれません。
そして、最後の一口。
ごちそうさまでした。
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お店の外の行列は、更に長いものに。
一列に並び今か今かと賑わうその姿は、
まるで満開の桜並木のようでした。
40年以上もの時間、この味を提供し続けてくれて、
ありがとうございました。
弘前生まれじゃない自分にとって、
このお店で過ごした時間はわずかなものでしたが、
味わったスパゲティの記憶は、
かけがえのない宝物です。

  • この記事を書いた人

takapu

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家 食や旅をテーマにした商品開発や既成品リノベーションを始め、コンテンツ企画、取材・執筆・撮影、PRツール制作、漫画原作、講演、事業所の強みづくりコンサルティングを手がけています。 詳しいプロフィールはお仕事に関するお問い合わせは、下のリンクからお願いいたします。

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