鷺ノ宮・エルビエント 無言の契り

22/05/2012東京,杉並区/中野区

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鷺ノ宮の駅も妙正寺川が流れる南口に出れば、
閑静な住宅街が広がっています。
そんな界隈をぶらぶら歩いていると、
一軒の珈琲店に到着しました。


ドアを開けるとカウンターと小さめのソファー席が2つ、
こじんまりとしたお店です。
カウンターに座ってブレンドを注文すると、
ご主人は後ろにあるミルで豆を挽き、
ネルに入れたらドリップポットから、
少しずつお湯を注ぐ。
沸々と泡立って来ると、
パイレックスのビーカーに、
少しずつ珈琲が溜まっていきます。
一通り、抽出し終わったらネルを外して、
大胆な動きでアクを取ります。
ワインを空気に触れさせて目覚めさせるかのように、
何回も何回も。驚きの瞬間です。
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華美な個性はなく、とことん美味しさを導き出した一杯。
澄んだ空気の中で小さな音が静かに響くように、
心の中を静かに響かせます。
カウンター席で飲むには最高の味です。
旅行好きでカメラ好きなご主人は、
時間を作っては海外に足を運び、
色々な刺激を受けて帰ってくるそうですが、
行く先々でよく口にしていたのが、
ホットアップルサイダーなんだそうです。
ただ、国内にある色々なりんごジュースで試したものの、
理想的な味ではないということで、
これまでメニューに置いてなかったようですが、
最近になって、これを知り、
取り寄せてみたところ、理想的な味だったそうで、
今はメニューとして扱っているそうです。
洒落たカフェではなく、
昔からの常連さんが朝一番で通うような佇まい、
ここで珈琲とトーストを食べることが、生活の一部になっている。
まるで、無言の約束を自然に交わしているかのようです。
お店と客がそんな関係が築けることは、
ありそうでなかなか多くはありません。
ここは、大人の方に足を運んでいただきたいお店です。

著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
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Posted by takapu