茨城県水戸市・水戸芸術館「水戸岡鋭治の鉄道デザイン展 駅弁から新幹線まで」

関東,ひるたび・さんぽ

水戸岡鋭治の鉄道デザイン展-01
自分にとって、
近くて遠い県の一つだったのが茨城県。
納豆や偕楽園、あるいはスタミナ冷やしといった、
単語ベースの知識でしか地域を知らなかったのですが、
先日、茨城出身の方にご案内いただき、初めて訪れました。
愛宕山の山頂から見る太平洋の景色、
充実と興奮、そして感動の産直、
イバライガーの浸透度合いに、
なぜかよく見かけたピンクのコンビニ・ココストアと、セイコーマート。
美しき自然から不思議な小売り網まで、
1分1秒が驚きに満ちた新鮮な体験でした。
そんな茨城県に訪れた目的の一つが、
水戸中心街のシンボル・水戸芸術館。
象徴的な「塔」がそびえ立つ建物に入り、
お目当てだった展覧会の大きな看板とご対面。
「水戸岡鋭治の鉄道デザイン展」
JR九州を中心に公共交通のデザインを手がけ、
電車が持つ基本機能に、驚きのアイデアを組み合わせることで、
「乗りたい!走っている地に行きたい!!」
と思わせてくれる。
そんな魔法をかけてくれるのが、デザイナーの水戸岡鋭治さん。
これは、今までに手がけてきた鉄道関連のデザインを中心に、
魔法に五感で触れることができる展覧会です。
水戸岡鋭治の鉄道デザイン展-02
さっそく、入口の左側には、おお!と驚いてしまうイラスト。
和歌山電鐵・貴志川線を走る普通電車、
たま電車のシンボル・たま車掌と、
阿蘇駅を走る特急「あそぼーい!」のシンボル・あそくろえもんが、
一緒に九州新幹線を運転しているのですから。
水戸岡鋭治の鉄道デザイン展-03
ということで、興奮の余韻のまま、
先に進むことにしましょう。
複数のスペースに分かれているこの展覧会、
最初に出迎えてくれたのはリンゴが一つ描かれた暖簾と、
これまでに手がけられた車両や駅舎を中心とした、
色鮮やかな絵画展。
圧巻と言ってしまえば簡単なのですが、
鮮やかに九州を走り抜ける車両や、
細かな部分まで徹底的に描かれた車両の俯瞰図。
車両の模型も展示されており、この部屋だけでも心躍ります。


水戸岡鋭治の鉄道デザイン展-04
次のスペースは、JR九州を中心とした公共交通にまつわる、
色々なプロダクトの展示。
運転手さんの制服や、たま電車のグッズなどなど、
一つ一つの作品に近づいて手に取って、細部に触れることができます。
水戸岡鋭治の鉄道デザイン展-05
その先には、JR九州で走る新幹線や特急のシートの実物展示!
座ってみたかった車両のシートがすぐそこに。
開発の過程がNHK「プロフェッショナル」で放送された、
あそぼーい!の親子ペアシートもあります。
座り心地の佳さはもちろんのこと、シートの柄や素材、
テーブルの形やリクライニング、細部にまで本能に対する贅が尽くされています。
腰を下ろして目を閉じれば、まだ肉眼で見たことのない九州の風景を、
脳が全力でイメージする。そんな感じです。
水戸岡鋭治の鉄道デザイン展-06
4つめの部屋は、来年スタートする
JR九州のクルーズトレイン「ななつ星」が描く夢。
小さく区切られた小部屋には、立ち茶室まで。
来年、現実のものになる世界に触れられるなんて、
本当に贅沢なものです。
水戸岡鋭治の鉄道デザイン展-07
その先には、なんとJR博多シティの屋上で走る、
ミニトレインつばめ電車の勇姿!しかも、乗れます。
ゆっくり走る電車に乗りながら、
今まで見て来た部屋を横切ると、
童心と大人心が繋がります。
水戸岡鋭治の鉄道デザイン展-08
降りれば、再び作品が描かれたパネルトンネル。
そこには、デザインされた駅弁の姿も。
JR東で販売されているいくつかの駅弁を、手がけさせてもらっている身として、
シンプルに心が欲するものを具現化すると、この形になるよなぁ・・・
と、ちょっと共感できたのがうれしくてたまりませんでした。
そして、その先には子供達とのプロジェクト紹介。
この展示会自体、子供達が公共デザインに
興味関心を持ってもらえることがコンセプト。
水戸岡さんの多岐に渡る活動と、今日触れて来た展示作品を振り返ると、
源泉は楽しく繋げることであり、それを目に見えるものや身体で感じるものでつなぐことが、
公共デザインなのかもしれない。公とは人と人との結びつきでできているから。
未熟な自分なりにそう感じました。
水戸岡鋭治の鉄道デザイン展-09
随所に置かれたスタンプを台紙に押せば、
チケット売り場でちょっとしたお楽しみも。
そんな展示会は明後日の日曜日まで。
茨城近辺の方には、絶対に足を運んでもらいたい展覧会です。

著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
Local-Fooddesign

Posted by takapu