新潟県新潟市・七尾屋 路地裏のハンコ基地
再び、古町の繁華街へ。
まだ夕食の時間には早いなぁ…と
街中をブラブラしていたら、
あるお店の隣で一つの扉が目に入りました。
少し開いた扉の先には、
マジックで書かれた案内状。
ここは一つ、奥に進んでみましょう。
狭くて細い小路には、
昔懐かしペンギンズバーの容器を見かけたり、
思いのほか奥行きがあったり。
「この先に何が!?」
期待と不安が入り交じりつつ歩を進めると、
柔らかな光が漏れる古民家が佇んでいました。
ドアに書かれた文字は「七尾屋」。
イベントスペースではなく、
何かを売っているお店という雰囲気だったので、
中に入ってみました。
そこには、たくさんの判子が飾られていました。
ここは、通り沿いにある本間印舗さんの四代目さんが、
週末限定でオープンしている、いわば判子の秘密基地。
元々、作業場だったスペースを改装し、
判子や昔の製造機械が展示されています。
判子と言えども、その種類は多岐に渡ります。
例えば、イラストもののゴム判。
デザイン性の高さに唸ってしまう作品だらけで、
レスリングをモチーフにしたゴムスタンプには、
技にキレ味を感じます。
オフィスで使う判子やゴム印となると、
単純に道具機能を追求することになります。
一方、このお店では作品として飾られており、
道具としての顔だけではなく、
造形品としての顔が演出されています。
インク面のデザインだけではなく、
持ち手の色や素材感とか。
こういったお店に入ると、何に使うかはさて置いて、
「取り敢えず買う」と、いくつか手に取ってしまうものです。
そんな時にレジで見かけたのが、このおりがみくじ。
色とりどりの折り紙を1枚引いて、
丁寧な折り跡を少しずつほどいていくと、
メッセージと共に小さなスタンプが押されていました。
ちょっと点数占いっぽい優しい言葉を、
集めたくなってしまいます。
もちろん、手裏剣ハンコもついて来ます。
お店を後にし、再び小路に戻るとき、
靴を履き直します。
この感覚は遊びに行った親戚の家から、
帰るときと同じ。
旅先と繋がる言葉。
会話という聴覚で感じるものがあれば、
判子とは視覚で伝える
コミュニケーションツール。
今度はどんな色の折り紙を広げに来ようか、
待ち遠しくてたまりません。