新橋・ボワヴェール 一つのロールモデルとして。

 

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ボワヴェール-07
昨日の晩、西新橋の片隅で
むつ市大畑町のお土産試食会が開催されました。
主役は特産品のイカをたっぷり使ったイカ墨カレー。
特にイカ墨の量が通常の数倍入っているとのことで、
艶やかな黒が白い皿に映えます。
じわじわと辛さが効いてくるコクのある味は、
試食用のハーフポーションでは足りず、
フルポーションで食べたくなる一品。
一部の特産品カレーに見られる
「具も物足りないカレー味したソース」ではなく、
イカの弾力がしっかり楽しめるのもいい感じです。
昔ほどではないものの、
未だこの手の試食会では「好評でした」といった、
甘口コメントを集める場として
使われることもあるものです。
でも、本当に重要なのは8割の肯定ではなく2割の否定。
例えば、飲食店で開催する場合にはお店のシェフが
長所も短所も伝えるのがポイント。
昨日もそんな感じでした。
そして、それができるのは本気で地域を愛するお店だと思います。
例えば、このボワヴェールのように。


ボワヴェール-01
ある日の晩、酒が弱いなりのペースでアップルブランデーを口にしながら、
久しぶりにこのお店の味を堪能しました。
ボワヴェール-02
前菜は魚のマリネと、じゃがいものポタージュ。
甘さとコク、そこに酸味。
舌の反応を目覚めさせてくれる美味しさです。
タイミングがよければ、このポタージュは嶽きみで作られるのですが、
本当に美味しい時期にしかポタージュを作らないゆえ、
逆に食べられなかったことに、ある種の安堵感を覚えたものです。
ボワヴェール-03
一緒だった方と、青森について色々と話をしているうちに、
目の前に大きなプレートが。
最近になってメニューをリニューアルした、
お店のフラッグシップ・前菜盛り合わせ。
どの料理にも青森食材が
ふんだんに使われているのはもちろんですが、
感銘を受けたのが「けの汁」「切り込み」
あるいは「すしこ」といった、クラシックな青森料理の技法や
そのものが使われていること。
クラシックとニューウェーブとの融合がされています。
基本的に、自分は伝承料理の普遍的な美味しさが好きなので、
あまりにも創作の手が入りすぎた料理は、
心理的にちょっと…となります。
でも、こういった形でクラシックがリスペクトされ、
20世紀までの美味しさと21世紀の美味しさが、
融合されているのですから、心も舌も大満足です。
ボワヴェール-04
食べ応えある前菜の後は、石焼きの器の出番。
グルグル回せば、
ボワヴェール-05
牛トリッパのトマト煮込みの出来上がり、
くにゅっとした肉感的な歯触りと、
タマネギのシャキッとした食感が、
酸味の利いたトマトソースで
しっかり包み込まれています。
ボワヴェール-06
仕上げは、こめたまペペロンチーノ。
たっぷりのニンニクの香りと味が、
スープの旨味を無限に膨らませます。
食材や加工品のブランディング手法として、
奇を衒った調理やイベントで
対象たる食材や加工品の扱い店や知名度を飛ばす。
それも一つの方法です。
でも、地域を愛する方が実力を引き出せないと続かないもの。
そうなると、地域のためと言いつつ、
段々と自分のためのお店になってしまいます。
このお店は、愛する地域に対する思いの分だけ自分に厳しく、
それゆえ自身のレベルも進化しているのだと思います。
応援するために、食材や加工品を扱うだけじゃなく、
その味を実力を120%引き出して可能性を膨らませる役割。
そして、愛する地域に上のレベルへ邁進して欲しいと願う気持ち。
このお店は飲食店が地域を愛する気持ちを
美味しさの形で多くの方に届ける一つのロールモデル。
もっと、こういったお店が増えてもらいたいものです。

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/復興庁「専門家派遣集中支援事業」登録専門家
地域食材・食文化をテーマにした商品開発や地域活性事業の企画・運営、取材、執筆、撮影、講演活動、地域メディア・ソーシャルメディア運営アドバイザー。人×食×地域の繋がりを強くする取組みをしています。詳しいプロフィールは下のリンクから。
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