神田・なみへい「佐井村特産品試食会」 百聞は一食に如かず。

02/02/2013東京,青森,丸の内/八重洲/神田,東北

佐井村特産品試食会-01
青森県佐井村。
まさかりに似た下北半島の刃部分にあたる、漁業の街です。
真っ先に思い浮かぶのは風光明媚な絶景・仏ケ浦、
そしてこれでもかと盛られたウニ丼。
他にも、一晩中ごはんとおつゆを食べまくる奇祭「おこもり」のように、
まだまだ未知の魅力が隠れているものです。
そんな地域資源を掘り起こして経済循環の輪を広げるために、
住民組織として「あおい環(わ)プロジェクト」が立ち上がったのは最近のことです。
体験ツアーの実施やお土産の開発といった取り組みが進む中、
今回、色々な食の加工品が開発されたということで、
試食会にご案内いただきました。
場所は、神田駅から3分歩いたところにある「なみへい」
ここを主催する川野さんのイベントで、
青森の食文化を佳さを知った自分としては、
何か縁の輪が一周した感じです。
最初に出されたプレートには、
自分が大好きな八戸のボルゴの滝沢シェフが手がけた、
海産物加工品が4品。
隠れた特産品のアワビの水煮とコンフィ。
そして、平目の昆布締めに平目のハム。
滝沢シェフの料理は、素材の佳さを軸に据えて、
魅力が隠れることなく引き算型の料理。
技が作り手のエゴとして重くのしかかることはありません。
時に、重たすぎる加工が施された商品も多いのですが、
こういったシンプルな味が楽しめるものこそが、今の時代のストライク。
にじみ出る素材の佳さが、香りや歯触りそして旨味の記憶になっていきます。
「一回食べればいいや」じゃなくて、「何回でも食べたい」と思えるのは、
「もしかすると、何かもっと深いのかもしれない」を
思わせてくれるからなんでしょう。
次に、お土産というよりも地元で食べる着地型の食事が並びました。


佐井村特産品試食会-02
ちゅるちゅるコリコリと歯触りが楽しい草もずくや、
たこの頭のお刺身、あるいはふのりのごはん。
佐井村のように、ウニが4番バッターとして軸になる地の場合、
クリーンナップをどうやって構成するかが鍵なのですが、
せっかく行ったのですから、東京ナイズされたものよりは、
漁村の朝みたいなものが恋しくなるもの。
だから、こんな感じの薄化粧でいいと思うんです。
食べた人が薄化粧の素材にメイクしたくなったなら、
それで勝ちだと思うんです。
そこに、前から食べてみたかった料理が出されたのです。
その名も、たこのどうぐ汁。
佐井村特産品試食会-03
たこの頭にぎっしり詰まった内臓を、この地方では「どうぐ」と呼び、
それをたっぷりと味噌汁にしたものです。
元々、タコの弾力はみんながイメージしやすく、
逆に言えば弾力の印象は一つだけ。
でも、このどうぐ汁を食べると一変します。
例えば、焼肉屋さんでホルモンの盛り合わせを注文すると、
色々な食感を楽しむといった趣になりますが、これも同じ。
コリコリクニュクニュと素敵な歯触りが優しい味噌味で際立ちます。
これが食べたかったんだ!というのはまさにこのタイプ。
東京でタコを買うときは頭から内臓は取り除かれ、
ボイルされたものが売られています。
でも、これは産地ならでは。
旅先で口にしたい汁物の理想形です。
こういった試食会で未知なるものを口にすると、
百聞は一見に如かずではないのですが、
百聞は一食に如かずだと思います。
そういえば、本家の言葉には後世になって
「百見は一考にしかず 百考は一行にしかず 百行は一果にしかず」
という続きが生まれたそうです。
見るだけではなく考える、考えるだけではなく行動を起こす、
そして行動するだけではなく成果をあげる。
今の佐井村は、この循環に入ったんだなぁと感じたのは、
村長を初めとして、様々な方が来賓としていらしていて、
素材や料理に関する質問に対して、自分ごととして答えられていたから。
これからも、あおい環は更に広がり続けてもらいたいものです。

著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
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Posted by takapu