大阪・ゼー六 薄皮に包まれた甘い記憶

 

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ゼー六-01
東西南北に広がる大阪の地下鉄。
他の路線に乗り換える度に、
初めて見る車両がホームに入って来る姿を見ると、
得した気分になります。
そんな具合に、本とん平焼きを食べた足で、
東梅田から谷町線から中央線に乗り換えて、
堺筋本町の駅からしばし歩くと、
懐かしさに満ちた一角が見えてきます。
そのお店の名前は「ゼー六」。
一度聞いたら忘れない変わった名前ですが、
お店の由来は、商人に無用の贅物六つ(禄、閥、引、学、太刀、身分)
なんだそうです。
こじんまりした店内に入り、
数少ない空きテーブルを見つけて、
お目当てだったアイスモナカと珈琲のセットを注文しました。


ゼー六-02
白いモナカの中心にはゼー六の文字が、
それを囲むようにICECREAMの文字が刻印されています。
7センチぐらいの小さなサイズなのに、
手で持ち上げれば、ずっしりと重さが伝わってきて、
期待値は高まるばかりです。
ゼー六-03
頬張ると驚くほど薄い皮の食感の下に、
ぎっしりつまったアイスの層。
今どきのモナカのように、クリーミーに蕩けるのではなく、
シャクシャクとした食感を楽しんでいるうちに、
懐かしさがにじみ出てくるような味。
シンプルな甘さとすっきりした後味だからこそ、
食べ飽きることなく、一つ食べ終わると余韻が後を引きます。
口の中が少し冷えたところで自家焙煎の珈琲を一口飲めば、
香りがしっかり立った深い味。
アイスのシンプルな魅力を一層際立てます。
ゼー六-04
これまで、まったく同じことを経験したことがないのに、
懐かしさ覚えるような感覚に包まれるのは、
不思議なものです。
そんな時間に身を預けている間も、
外にはひっきりなしにお客さんが訪れ、
店頭でアイスモナカを受け取って、
笑顔が生まれています。
かつて、この界隈にも空襲があったそうですが、
奇跡的に残ったこのお店で、昔ながらの製法で生まれた味が、
そのまま伝承されて時代を紡ぐ。
アイスは溶けるものですが、
大阪の一角で生まれる甘さの記憶は、
溶けることなく今日も受け継がれています。

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/復興庁「専門家派遣集中支援事業」登録専門家
地域食材・食文化をテーマにした商品開発や地域活性事業の企画・運営、取材、執筆、撮影、講演活動、地域メディア・ソーシャルメディア運営アドバイザー。人×食×地域の繋がりを強くする取組みをしています。プロフィールやお問い合わせは下のリンクから。
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