三重県伊勢市・丸与製パン うれしいときに。

 

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丸与製パン-01

伊勢うどんを食べたその足で、伊勢市内を散策します。

静かな街中の一角で、白石持ち行事の出発を待つねぶた風上せ(のぼせ)車を見つけて、
「ねぶただ!」と驚きと喜びがミックスした気分になったりしつつ、
じわりじわりと照りつける太陽の下、目的のお店に到着しました。

丸与製パン所。このお店のことを、今回伊勢をご案内いただくこちらの方に伺ったり、
名物の「固パン」のことを調べれば調べるほどに、
行きたくて恋しくてたまらなくなったのでした。

大きな開き戸で受け止める陽の光、
どことなくパンの色をした、ふっくら丸ゴシックで描かれた店名。
店頭に飾られた伊勢神宮のお飾りも合わせて、
製パン所という言葉がしっくり来る佇まい。 

ガラス戸の先にうっすら見える商品ケースに、
一秒でも早くたどり着きたいと思ったものです。 

丸与製パン-02

店内に入ると製パン所ということで、
白衣を来たバリバリの工場長風の方が出迎えてくれると思いきや、
まるで焼き立てパンのような、ふんわり穏やかなおばぁちゃんが出迎えてくれました。

ガラスケース越しに、銀色のトレーに置かれたパンの姿を凝視すると、
種類の豊富さ以上に、一つ一つのパッケージの可愛さに感嘆してしまい、
ジャケ買いならぬビニ買いしたくなってしまいます。

どこの地パンもそうなのですが、街の人に愛される時間が長いゆえ、
なかなかフォントやデザインは、大胆にモデルチェンジされることが少ないものです。

でも、ジャムパンや小倉パンあるいはハチミツパンといった
菓子パン袋のデザインは、いわば地域のシンボル。
そして手軽に買える笑顔の源。その姿を簡単に変える理由はないでしょう。

自分が地方に行く度にこういったパンをお土産にするのは、
きっとそんな生活の一端に触れたいからなんだと思います。 

丸与製パン-03

そして、棚の上に見つけました。一番の目的だった固パン。

固パンは、伊勢市内では結婚式や卒業式、
あるいは運動会や神事といったお祝いの際に配られる、
いわば紅白饅頭のような存在。

固さもお店によって少しずつ違いがあるようですが、
ここの固パンは少し食べやすいタイプのようです。

ということで、これとビニ買い目的のパンを二つ、
そして一つだけ残っていた桃パンを買うことに。

丸与製パン-04

固パンと桃パン、そしてビニ買いした、ケーキパンやクリームパン。
伊勢の食卓が遊びに来てくれました。 

丸与製パン-05

早速、固パンから。
半分にしても確かに固い感じはあまりせず、
爪で弾くと軽めにコンコンと響きます。

甘食のような甘さがじんわりと口の中に広がり、
鼻腔まで小麦の香りが届くと、一口でやさしい気持ちになります。
しかも、食べ進めるにつれて、
口中の水分を吸い取るスポンジみたいになるのかと思いきや、
そんなことなく、むしろ甘さの心地よさが積み重なるだけです。 

そして、桃パンに手を伸ばして半分にすれば、
桃太郎ではなく白あん太郎のお出まし。
上品な甘さを生地が包み込んだ、和菓子のような味わいは、
珈琲にもピッタリの一品です。  

クリームパンの甘さと、砂糖とジャムの組み合わせだったケーキパンも、
複雑で重たい味ではなく、素朴でシンプルな味。
おばぁちゃんが孫に食べさせる姿が目に浮かびます。

製パン所という名前ですが、ここで作られているのはお客さんの笑顔と歴史。
街の文化にここまで深く浸透しているパンに出会う機会は、
なかなかありません。 

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/復興庁「専門家派遣集中支援事業」登録専門家
地域食材・食文化をテーマにした商品開発や地域活性事業の企画・運営、取材、執筆、撮影、講演活動、地域メディア・ソーシャルメディア運営アドバイザー。人×食×地域の繋がりを強くする取組みをしています。プロフィールやお問い合わせは下のリンクから。
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