島根県隠岐の島町 味乃蔵 隠岐そばという掛け橋。

   2014/10/31

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味乃蔵-01
隠岐空港に小さなプロペラ機が着陸してから約40分、
お昼を食べるために、島根県と島の役場の方に案内された先は、
地元ではハレの日の食事にも使われる感じのお店。
メニューを見れば、お刺身や天ぷらで構成される膳ものの文字が並びますが、
そこに見つけたのは「隠岐そば」の文字。
今回、隠岐を訪れたのは、この地域の伝承料理文化を、
一人でも多くの方に知っていただくお手伝いのため。
だから、この文字に目が止まらない理由はありません。
単品での注文も可能なようでしたが、地域の食文化は副菜に表れるもの。
ということで、隠岐そば定食を注文しました。
運ばれてきたのは、少し小さめの器。
お蕎麦の上にヒタヒタな量で注がれているおつゆ、
そこに海苔、ネギ、ごまの薬味。
ところどころ見えるのは、焼き鯖のほぐし身。
隠岐そばは冠婚葬祭の際に、
大勢のお客様に提供するおもてなし料理。
なので調理に時間をかけることができません。
そこで、そばはあらかじめ茹で置いて、
その上にヒタヒタの量のおつゆを注ぎます。
そのおつゆの出汁はアゴ、つまり飛び魚の出汁。
ここ隠岐の島には、アゴや「もぶし」、
あるいは鯖といった多種多彩な出汁文化が、
今もしっかりと残っています。
フカフカになった麺を箸でまとめて食べる。
啜るというよりは口に運ぶ。まるでお米を食べているような動きですが、
そばが思う存分吸っているのは、素朴でやさしい旨味です。
味つけは薄味なのですが、足腰がしっかりしているのは、
焼き鯖の旨味も乗った出汁の力が強いから。
海苔の香りと胡麻の香ばしさも手伝って、箸の動きは止まりません。
そして副菜、こちらも期待を裏切りませんでした。


味乃蔵-02
アラメ昆布と油揚げを、
少し甘めに煮付けたものです。
驚いたのはその食感、
昆布の佃煮はぐにゅっとした弾力系ですが、
こちらは少し薄めなこともあって、
噛めばホロっとほぐれるような食感。
ここから溢れてくる香りと旨味、そして煮汁。
こうなれば定食の本領発揮。ごはんが止まりません。
青森は津軽地方に伝わる津軽そばもそうですが、
伝承料理には今の姿であり続ける理由があるものです。
それは地域によって異なるものですが、
食べる人をもてなす気持ちは共通しています。
出汁と調理法という掛け橋で、
そんな気持ちを受け継いできた一杯。
隠岐に来たからには、まずこれを食べない理由はありません。

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/復興庁「専門家派遣集中支援事業」登録専門家
地域食材・食文化をテーマにした商品開発や地域活性事業の企画・運営、取材、執筆、撮影、講演活動、地域メディア・ソーシャルメディア運営アドバイザー。人×食×地域の繋がりを強くする取組みをしています。プロフィールやお問い合わせは下のリンクから。
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