青森県青森市・海坊厨 料理を「創る」ということ。

 

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海坊厨-01
東北新幹線で約3時間、
新青森駅のホームでひんやりとした空気の出迎えを受けて、
青森駅に移動します。
アウガから少し先、駅前からすぐの市場街。
自分が青森に住んでいた時は3つあった市場の一角、
青森公益魚菜市場が再開発のために取り壊されて、
今では更地となっています。
海坊厨-02
その目の前にある深緑のお店が、海坊厨。
数年前に移転・開業する前、青森での職場から歩いてすぐだったので、
ねぶた囃子が似合う暑い日も、街が白く包まれる寒い日も、
気がつけばカウンターやテーブル席で、
日替わりランチや海鮮パスタを食べていたものです。
海坊厨-03
この日はGWの土曜日ということもあって、
日替わりランチはお休み。
それでも住んでいたなら日替わりでいただきたくなる、
パスタのラインナップ。
元々、グランドメニューが豊富なお店ですが、
「さすが!」という感じになります。
それでは、数年ぶりに中に入ってみましょう。
海坊厨-04
メニューデザインが変わって、
シズル感のある写真がたっぷりの表面、
裏面には自分もお世話になった、名物のオムライスも健在です。
海坊厨-05
そして、もう一つの名物であるスイーツメニュー。
ちょっと遅めの時間に入ったこともあって、
隣のテーブルでは市内のマダムさんご一行といった感じのグループが、
珈琲とともにスイーツも楽しんでいました。
食べたいものばかりで困ってしまいます。
数年前の美味しさに会いたい気持ちと、
食べたことがない味に出会いたい気持ち。
どちらかを振り切らないといけないのですが、
やっぱり迷うものです。
でもここは初志貫徹。
「魚介のふきのとう入りバーニャカウダソース」パスタに、
食後のスイーツとして焦がしきな粉のロールケーキを注文しました。


海坊厨-06
まずは、スープとサラダから。
コンソメに浮かぶたっぷりの布海苔の香りと、コリコリの食感。
青森らしいお出迎えをいただきました。
海坊厨-07
で、こちらは炙り海鮮丼。
同じテーブルに運ばれてきたので、
撮影権だけいただきつつ、
このボリュームに魅力を感じざるをえません。
海坊厨-08
そして、お待ちかねのパスタ。
熱々の湯気に乗って立ち上る芳醇な香りに導かれて、いただきます。
ふきのとうのほんのりした苦味と、ニンニクのコクとの組み合わせが、
パスタに絡んだこの味、たまりません。
そういえば、ニンニク生産量日本一の青森と、
バーニャカウダのイメージは、もっと結びついていいはずなのに、
意外なほどにピンとこないもの。
そういえば、同じ生産量日本一のりんごやごぼうの加工品と比べれば、
ソースがボトリングされて商品化されているものも、見たこともありません。
もったいないなぁと思うものです。
濃厚な中に春の息吹を感じさせるソースに絡む具材は、
あさりやエビといった定番系に混じって、
自分の一番心を揺さぶったイカトンビ。
つまり、イカの口端部分なのですが、
この一皿作るのに何杯のイカを使ったのか。
想像もつかない分量と、想像以上の弾力の楽しさ。
あっという間に…いや、このお店のボリュームは見た目以上にすごいので、
お皿が空になるまでには、少し時間がかかりました。
腹8分の言葉に謝りつつ、デザートが運ばれてくるのを待つことに。
その間に、食後の珈琲をはさみます。
昼休みの1時間でここに来ていた時は、
珈琲を飲んでお店を後にすることばかりだったので、
デザートが来たときの別腹感は、一層の贅沢感を覚えます。
海坊厨-09
まずは、同じテーブルに運ばれてきたティラミス軍艦。
海苔の形に整形したチョコレートの中に、
マスカルポーネと小豆や甘納豆といった和系食材がたっぷり。
まぁ…撮影権だけしか持ってないのですが(笑)。
海坊厨-10
で、こちらが焦がしきな粉のロールケーキ。
スポンジとクリームにきな粉が入り、
薄く伸ばした求肥で境界線ができています。
フォークを指して一口大にカットして口に運べば、
あっさり系の甘さと香ばしさがふわっと口の中に。
求肥のモチモチした食感が、
口の中にいる時間を伸ばしてくれるので、
クリームたっぷり系のロールケーキよりも、
余韻や後味をしっかり楽しめます。
いちごの酸味をはさみながら、
丁寧な飴細工の甘さを口しながら。
最後の一口まで堪能させていただきました。
このお店が好きな理由は、シェフの飽くなき探究心。
店名に創作と掲げるのって、一つの勇気だと思うんです。
創作は歩みを止めると、時代の流れから取り残されてしまうもの。
だから、普遍的な軸を持ったままで
面積を広げて高さと深さを生み出しつづける必要があります。
きっと、無意識にそんなインスパイアを受けていたので、
自分も駅弁だったりドリンクだったりの、
青森土産を生み出せたんだろうと。
そう考えれば、今の自分を作ってくれたお店の一つ。
街の姿は変わっても、お店の姿が変わっても。
その思いは変わりません。

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家
全国各地の伝承料理を中心とした、食材・食文化の魅力を伝えるコンテンツ制作や商品開発を通じて、人と地域の関係を深める食卓づくりをデザインしています。ウェブサイト「ホットサンドカフェ バウルー」「貝の王国 隠岐の島」や「百年食堂」も運営中。著作は「男と女のホットサンド」(フードユニット『やくみ』名義共著・グラフィック社)。詳しいプロフィールは下のリンクから。
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