赤羽・まるいち 青森好きの形には色々あるのが当たり前。「青森好きな自分が好き」も青森好きを押し付けられるのもバカバカしい。だから、自分はこのお店が大好き!

 

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赤羽・まるいち-01とあるきっかけで知り合った、東京に住む青森ねぶたの囃子方の皆さん。

その縁が膨らんで、ある日の晩に向かったのは赤羽。駅から少し歩いてご指名の店に辿り着けば、大きなパンダのぬいぐるみが出迎えてくれました。

青森にある自転車屋さんの看板パンダじゃないですが、やっぱり、青森ねぶたとパンダは縁があるようです。

赤羽・まるいち-02青森出身の女将さんと東京出身の旦那さんが、二人で営まれているこのお店。天井に貼られた無数の千社札と壁に飾られた祭りの写真が、お客さんとの縁の深さの証です。

赤羽・まるいち-03もちろん、お酒の品揃えも田酒を初めとした青森の地酒が中心。ママのおすすめという言葉に商売的な響きがなく、手書きの文字からは「私がずっと飲んでるんだから!」といった感じの声が聞こえてくるようです。

赤羽・まるいち-04 そんなお店の名物メニューは「青森ね豚やき」。山盛りのタマネギともやしの上に豚肉の薄切りを並べて、ねぶた灯籠のごとく赤く色づいた鉄鍋。火を入れれば肉の色が白く染まり、野菜がしんなりとしていきます。

赤羽・まるいち-05自分たちで鍋の火加減に合わせて具を混ぜあわせようとすると、女将さんが手伝ってくれます。

赤羽・まるいち-06湯気から微かに甘い香りが立ち上り、タレが絡んだところでできあがり。シャキシャキアツアツを頬張れば、日本酒も会話も弾むってもんです。

赤羽・まるいち-07こちらは、イカのごろ味噌煮を食べ終えた後に、旨味たっぷりの煮汁とご飯を混ぜあわせた一品。赤茶色に染まったお米は、一粒一粒の隅々まで煮汁が行き渡っている証。お皿から取り分けて一口食べれば、早くおかわりを確保しないと!な勢いが止まりません。

ねぶた囃子会のメンバーには、青森出身の方が多いのですが関東出身の方も数多くいます。そんな会と知り合うきっかけを作ってくれたのは、世界で活躍するフルートのプレイヤー。生まれ育ちや生活拠点はバラバラですが、好きな青森のことになれば会話は止まりません。そんなシンプルな繋がりだからこそ、居心地がいいんです。

「青森が好きな自分が好き」な人なんていなくて、青森絡みのイベントに何回顔を出したかがコミュニティの序列を作る感じもありません。もちろん、青森好きを過度に押し付けることもありません。好きの形がどうであっても、何かの形で青森が好きなら、無条件で包み込んでくれるんです。

別にお店の看板でわざわざ青森と謳ってなくても、酒と肴は自分の身となっているもの。そんなお店と人とが生み出す空気が、そこまで強くない自分にお酒を呑ませたり、ほぼ貸し切り状態のお店の中で、カウンター席のお客さんが飛び入りで囃子に合わせて跳ねたり。

青森に限ったことじゃなく、理想的な「地域が好き」の形ってこういうことだと思うんです。そして、自分はそんな空気を静かに演出してくれるここみたいなお店が大好きなんです。

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家
全国各地の伝承料理を中心とした、食材・食文化の魅力を伝えるコンテンツ制作や商品開発を通じて、人と地域の関係を深める食卓づくりをデザインしています。ウェブサイト「ホットサンドカフェ バウルー」「貝の王国 隠岐の島」や「百年食堂」も運営中。著作は「男と女のホットサンド」(フードユニット『やくみ』名義共著・グラフィック社)。詳しいプロフィールは下のリンクから。
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