渋谷・三代続く「たるや」の、カリふわ牛すじお好み焼きと隠し焼肉。

 

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道玄坂から一歩入った先、ゆるやかに伸びる坂道の両脇に小さな飲食店が立ち並びます。

ここは、百軒店(ひゃっけんだな)商店街。大正一二年の関東大震災直後、渋谷の都市開発計画に沿って作られた街です。

大規模な土地に百貨店のような空間を作るというコンセプトに沿って、被災した下町地域にあった老舗や有名店を誘致することで、渋谷の一角に賑わいが生まれました。

その後、下町の復興と共に店舗は入れ替わりましたが、当時、宮益坂から移転した千代田稲荷神社はそのまま残り、今も当時の空気が脈々と受け継がれています。

その奥に見つけた「創業昭和6年」、そして「牛すじ」の文字。ちょうど時間は夕食どき。強く惹かれるままに暖簾をくぐってみました。

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店内は畳敷きの座敷とテーブル席の組み合わせ、鉄板と衝立の黒が店内を引き締めます。商売繁盛を祈願する招き猫が繰り抜かれているのもチャーミングです。

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早速、店頭にあったメニュー写真とテーブルのメニューから注文してみました。冒頭を飾るお通しの漬物の、家庭的な味にホッとやすらぎます。

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まずは、塩焼肉から。鉄板に油を塗ったらあとは焼くだけ。グシュグシュとリズムよく噛みしめて、肉のエキスを体内に取り込みましょう。

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そして、牡蠣バター。熱々の鉄板に油を塗り直してお色直しを済ませたら牡蠣を転がし、衣に焼色がついたところでバターを絡めれば、黒い鉄板の上に磯の香りとバターのコクをまとった白い煙が立ち上ります。

カリッと軽快な歯ざわりからとろっと広がる牡蠣の旨さ。一粒食べれば次の一粒を呼び、食べやすい温度に変わることなく焼き上げて食べ尽くしてしまいました。

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そうそう、店内の看板に見えた、この記念メニューも欠かせないところです。

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千切りキャベツを覆う牛肉の細切れ、たっぷりと塩コショウのタレが絡まっているので、あとは一気に焼くだけ。

キャベツの水分が少しずつ飛んで行く中、褐色のお肉は食べごろの色に変化します。

とにかく、ごはんが恋しくなる味なのですが、ここは我慢でビールをごくり。

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そして、締めは牛すじのお好み焼き。山芋が逞しく粘る生地を混ぜて混ぜてまた混ぜて、アツアツの鉄板で焼けばできあがり。

底はカリカリ中はむっちり。心地よい食感の生地には牛すじのエキスが行き渡り、一口の満足度の高さに驚きます。

昭和6年の開店当時は立ち飲み屋さんだったというこのお店は、今のご主人で三代目。

日々の営みを重ねるごとに、今日も懐深き老舗の風格を、静かにそして確かに積み上げています。

…ということで、今年もこのブログをご覧いただき、ありがとうございました。
今年は、20年以上の公務員生活を卒業し、ローカルフードデザイナーとしてフリーランスとなった一年でした。

それもあって、なかなか記事を綴ることができなかったのですが、
来年もこのお店のように街で愛される味を、一つでも多く食べて書き綴ることができればと思います。

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/復興庁「専門家派遣集中支援事業」登録専門家
地域食材・食文化をテーマにした商品開発や地域活性事業の企画・運営、取材、執筆、撮影、講演活動、地域メディア・ソーシャルメディア運営アドバイザー。人×食×地域の繋がりを強くする取組みをしています。詳しいプロフィールは下のリンクから。
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