青森県青森市・初詣で冷えた身体を温める「千成」の鍋焼きうどんは、青森の行事食です!

   2016/01/02

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2016年の元旦。白い空に粉雪が舞う中、去年に引き続き初詣は善知鳥神社でした。

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今年一年の無事を祈願した足で向かったのは新町通り。例年、元旦から営業しているお店は少ないのですが、参拝で冷えた身体を温めつつ、空っぽになったお腹を満たしてくれる頼もしきお店。それが千成です。

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いつもは、中華そばや定食といった食事メニューが豊富なお店ですが、元々ここは80年前以上に甘味処として生まれた老舗。ということもあってか、メニューブックをめくると食事メニューよりも先に甘味が出てきます。

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そんなお店で元旦に注文できるのは、中華そばか鍋焼きうどん。

実は、青森市内の食堂でかなりの確率で見るのがこの鍋焼きうどん。漁師街であり港町ゆえ冷えた身体を温めるのにぴったりといったところでしょうか。特に、古くから営まれている食堂で「鍋焼きうどん」の文字が描かれた幟を見かける感じがします。

千成の場合はこれが3種類あるんです。普通、「上なべ」、そして「特上なべ」。初めてということもあって、まずは普通の鍋焼きうどんを注文してみました。

次から次へと初詣帰りのお客さんが訪れるたびに「中華そばか鍋焼きしか注文できませんが、大丈夫でしょうか?」と確認しつつ、おばぁちゃんがアツアツの鍋焼きうどんをテーブルに運んでいる姿。

30席ぐらいを一人で切り盛りするおばぁちゃんと、手際よく料理を作るご主人を見ると、「何かできることはないだろうか…!?」と思わざるを得ません。

そんな姿を眺めつつ、木のおぼんの上に置かれた鍋が運ばれてきました。

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おばあちゃんの手によって目の前で蓋が開いた瞬間、グツグツと煮える鍋から立ち上るおつゆの香り。

中華そばが運ばれてきた時の華やかさとは違って、海老天や卵が一人前の鍋の中でお出汁を吸っている姿に家庭的な暖かさを覚えるのは、商業的な一人料理の代表である中華そばに対して、賑わいの象徴である鍋は台所で作られる料理というイメージがあるからだと思います。

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鍋から数本のうどんを小皿に取り分けたら、ネギ、ごぼうといった具をドラフト指名します。

ちゅるんとなめらかな舌触りと、そこからじんわりにじみ出る出汁の美味しさ。少し甘目の味付けをしっかりまとった麺をすすっていると、ネギの瑞々しさや煮こまれたごぼうの香りが少しずつ組み合わさって、安心感に満ちた美味しさが広がります。

で、鍋焼きうどんの醍醐味の一つは、鍋の底に隠れた具があること。実は、ここにも鶏肉が入っていました。鍋の中身が少しずつ少なくなっても、こうした新しい発見に遭遇すれば寂しさなんて感じません。出会いの嬉しさのほうが勝るものです。

ここは北国。なので、食べ進めるごとに冷めていくのかなぁ…と思いつつ、主役の海老天や卵を食べる後半戦になっても、同じような熱さで美味しさが楽しめます。最後まで身体を温めてくれる存在の頼もしいことこの上ありません。

お雑煮を締めでいただくかのように、小さなお餅を頬張りながらおつゆを飲みきったところでごちそうさま。

おせち料理はもちろん立派な行事食ですが、初詣の帰りに食べる鍋焼きうどんや中華そばも立派な行事食。青森の元旦にはこれが欠かせません。

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とはいえ、鍋焼きうどん専用のクーポン券があるぐらいですから、元旦以外にも欠かせないんですけどね。

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/復興庁「専門家派遣集中支援事業」登録専門家
地域食材・食文化をテーマにした商品開発や地域活性事業の企画・運営、取材、執筆、撮影、講演活動、地域メディア・ソーシャルメディア運営アドバイザー。人×食×地域の繋がりを強くする取組みをしています。詳しいプロフィールは下のリンクから。
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