【「棒パン」って何!?/青森県青森市】長い棒に巻きつけたパン生地を、桜の名所「桜川」でこんがり焼いてきました。

22/05/2016青森,東北,パン,ひるたび・さんぽ

桜川の桜

弘前公園、十和田の官庁街通り、津軽鉄道の芦野公園…指折りしながら桜の名所がポンポンと思い浮かぶ青森県。

その中で「青森市の桜の名所」と聞いて、県外に住む自分が真っ先に思い浮かぶのは合浦公園ですが、市内に住む方から結構な確率で名前が挙がるのは「桜川」。

観光スポットではなく住宅地の一角なので、県外客でひしめくなんてことはないのですが、確かに桜の季節に東奥日報に掲載されるここのグラビアはすごいものでした。

RABの鉄塔を遠くに見ながら桜を眺めつつ、そんな名所に地元の友人に案内いただきました。

桜川の夜桜まつりのポスター

そんな桜川で年に一度開催されるのが夜桜まつり。お祭りムードを盛り上げるピンク色のポスターを見れば、「名物花さかじいさんって誰!?」といった小さな疑問に心を惹かれます。

桜川の桜並木

通りの両脇から空を包み込む圧巻の桜のトンネル!!!弘前公園の西濠よりも広い道幅が桜色に染まったこの景色、想像以上に艷やかで迫力に満ちていました。

桜川まつりの露店

そして、ポスターに書かれていたように露店も充実。豚肉の串焼きから網焼きホタテまで、食べ物ならなんでも揃うといった様相です。

そんな中、一段と強く鼻に感じたのは心地よい焼きたてのパンの香り…

桜川の棒パン

というか、ここで焼いていました!!

ドラム缶を半分に割ったコンロを囲んで、謎の棒を伸ばす子供と大人。その正体は「棒パン」と呼ばれるもの。

棒パン歴の長い友人から聞いた話によると、生みの親は県内で学校や病院給食用のパンを手掛ける赤田パン。知り合いから「お祭りで使えるパンってないか?」 と相談されたことをきっかけに、pinnbröd(ピンブロード)というスウェーデンの棒焼きパンをモチーフとして、赤田パンの十八番である米粉を混ぜたパンで開発したようです。

こうした桜まつりはもちろんのこと、アスパムでの夏のイベントや小学校の学園祭まで。季節を問わず市内の各種イベントでお馴染みの風景だそうです。

焼く前の棒パン

もちろん、焼かないわけにはいきません! 焼き場を管理する方から100円を渡して受け取るのは、アルミ箔とパン生地がグルグルと巻きつけられた細長い竹の棒。これをグリルの上でクルクルと回しながら焼きあげます。

棒パンを炭で焼く様子

一見、簡単そうに見えるのですが、肝になるのが炭との距離感。遠すぎるとなかなか焼けず近すぎると一気にこげぱんに。

棒を回しながら均等に焼き上げる技術を会得するまでには、数えきれないほどの経験が求められそうです。

なので、地元の子どもたちの動きを手本にして、自分も大きな子供になってグルグルグルグル…と。想像していた以上に集中しちゃいます。

焼き上がった棒パン

ということで、焼けました!焼きたての香りを浴びながら頬張れば、外はパリパリ中はもっちり。グラマラスな生地の食感から広がる甘さには、今までに経験したことがない感覚が凝縮されています!!

ちなみに、イベントによってはジャムやマーガリンも配られるそうで、「焼きたてにマーガリンは格別!」と友人は焼きたて棒パン以上に熱く語ります。

大人も子供も持ちうる「次はもっとキレイに焼く!」といった攻略欲をくすぐるのが人気の秘密だと思いますが、何よりアウトドアでパンを焼くことがこれほどまでに楽しいものかと。

観光客向けではなく地元の方が本当に楽しんでいる桜と棒パン。パンフレットに載っているような生活系を謳う商業コンテンツだけではなく、本当に町に溶け込んでいるこうしたものに県外の方に触れてほしいなぁ…と、市内に2年間住んでいた未体験だった自分を恥じつつ心の底から感じました。

だって、これ本当に楽しいんです!青森市なら桜に囲まれながらこんな体験が手軽にできる。そう思えばきっと住みたくなるはずです!!

著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
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Posted by takapu