この味を待っていた!福島県浪江町に『とんかつしが』が帰ってきた!!

 

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とんかつしが-01

2017年3月31日。東日本大震災に伴う原発事故による、居住制限区域及び避難指示解除準備区域が解除された福島県浪江町。震災からの復興の道のりは始まったばかりですが、毎日、未来に向けた新たな動きが生まれています。

避難指示解除を前にした2016年10月には、役場の敷地内には仮設商店街『まち・なみ・まるしぇ』がオープン。ここでも数件の飲食店が営業しており、こうした生活環境が整備されることは、サービスを提供する側にとっても受ける側にとっても、町に戻るきっかけの一つとして機能するに違いありません。

そんな中、今年の5月に町に戻ってきたのが『とんかつしが』。昔から町内の方からの定評が高かったとんかつ店です。

6月のある日、土曜日のランチタイム。暖簾をくぐれば、浪江に欠かせない味の帰還を喜ぶお客さんや復興を支えるボランティアの方で、店内はカウンター席もテーブル席も満員御礼。カウンター席に座れば、大量の注文を厨房で一手に引き受けるご主人の姿が躍動していました。

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手書きのメニューの中に書かれた8種類の料理。やっぱり、最初に食べたいのは上のつく定食。ということで、上ロースかつ定食をいただきます。

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目の前にドンと運ばれてきたお盆には、大きなカツと山盛りキャベツが盛られたお皿に、さやえんどうの緑が鮮やかな味噌汁、そしてごはんに漬物のフルセット。未だ大型スーパーが営業再開してない浪江の中では、こうした食材の仕入れにも一苦労されているはず。

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とんかつソースをかけて、さっそく一口頬張れば、熱々の衣が歯に当たった瞬間に生まれるサクサクという音。衣に包まれた肉の弾力越しに、じんわりとにじみ出る赤身のエキスと脂の甘さ。普通においしいが特別なのが今の浪江町。復興に向けて力をつけるなら、これを食べないと!といった感じです。

「震災前と同じように、ぶ厚い豚ロース肉を使っています」と誇らしげに話す、ご主人の志賀誠一さん。避難生活を余儀なくされてからも、郡山の『復興応援食堂』で腕を奮ったりと、30年以上に渡って揚げ油と向き合っていた技術は健在です。

ところで、とんかつを食べる上でかかせないソースですが、実はこちらのお店では手作りドレッシングがその役を担います。でも、お酢の酸味が効いた、大盛りの千切りキャベツにもかけたくなる味の存在を知ったのは、カツを食べ終えてからのことでした。

「以前は、夏場には大根おろしを添えてドレッシングと和えたものを、トンカツと一緒に食べてもらってました」とのことで、これは再訪しなければ…ですね。

数名の町の方に震災前の町について伺うと、耳にすることが多かったのが「この町には飲食店が多かった」というもの。もし、このお店の復活が多かったという過去形を現在形に変えるきっかけになってくれれば、これほど嬉しい話はありません。

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/復興庁「専門家派遣集中支援事業」登録専門家
地域食材・食文化をテーマにした商品開発や地域活性事業の企画・運営、取材、執筆、撮影、講演活動、地域メディア・ソーシャルメディア運営アドバイザー。人×食×地域の繋がりを強くする取組みをしています。プロフィールやお問い合わせは下のリンクから。
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